進むトロントのキャッシュレス事情

もう20年を越えたトロント暮らし。そおいえばポケットの小銭はゼロ、財布もほとんど持たなくなりました。今回はこのことについて書いてみたいと思います。

この記事の目次

キャッシュを持ち歩かなくなったと書きましたが、外出時に必ず持つものは、

Air Pods、カード入れ、iPhone の3つ(あとは家のカギ)。これが重要な持ち物です。

ポケットの中身は?

カード入れには、合計5枚+5ドル紙幣(普段は20ドル札一枚)が入っています。カードは TTC 乗車用の PRESTO カード、銀行カード、クレジットカード、運転免許証、健康保険証の5枚です。移民ですが、パスポートと在留者カードは国外に出る時以外は持ち出しません。

小銭がなくなったので、本当にラクです。

銀行カード(デビッドカード)

トロントで仕事や長期滞在すると銀行口座を作りますが、その時に渡されるのが現金の入出金に使う暗証番号付きの銀行カード( Client Card と呼びます)。

このカードはチップ付きのコンタクトレスカードにもなっていて、キャッシュカードとしてトロントのほぼ全ての商店で使うことができます。

一般にデビッド(正式名は Intearac、インタラック)と呼ばれるこのカードを使うことができる端末は、街の小さなコンビニ、スーパーやレストラン、タクシーなどほぼすべてのお店に必ず置いてあり、トロントのキャッシュレスを大きく前進させている理由となっています。

カードは銀行口座と直結、即座に引き落とされますので残高がないとエラーになります。1日の利用限度額があり、設定によっては1,000ドル程度の比較的高額な買物もできます。また海外ではキャッシュカード(Plus)として、現地通貨の引き出しに利用することができるので、例えばカナダの銀行カードをセブン銀行の端末に入れて日本円を引き出すことができます。

クレジットカードのようなオンライン決済は始まったばかりですが、個人間で現金をやり取りする e-Transfer(電子送金)は、少額の送金手段として普及しています。これは登録された電子メールあるいは携帯電話番号を使って、銀行間で送金をする仕組みです。

こうしたことはスマホ上のアプリで行うことができますので、銀行に行くことがほとんどなくなりました。

クレジットカード

お店では「デビッドかVISAか」の2択になるほどの普及ぶりで、お店では共通の端末を使います。利用実績によって限度額が上がりますが、月締めで最低額を支払えば繰り越しても(利息は付きますが)継続して使える点が、銀行カードと大きく違う点。

オンライン決済では圧倒的に優位で、Amazon などの登録の際に必要なカードです。オンラインショップというと日本では宅配問題がありますが、トロントでは少し事情が変わります。コンドミニアム(日本のマンション)に住んでいる場合のみ、セキュリティといって建物の出入りを管理している係員が荷物を受け取ってくれます。これが大変便利で、自宅にいなくても良いので、毎日山のような宅配便が届くという状況になっています。

Apple Pay と専用アプリ

銀行カードとクレジットカードは、店員にカード番号を見られる&パスワードを見られる、という不安があります。最近はコンタクトレスが普及し、カードは端末にタッチするだけ。実際店員さんはカードには一切触りませんし、端末は支払う側が操作しますからよっぽどの場合でもなければこの問題は起きません。

それでも Apple Pay が普及し始めている理由は、指紋・顔認証でしか使えないセキュリティに加えて、必ず持って出るスマホで100ドル以下の買い物が済ませられるという気軽さゆえ。「ちょっとコーヒー」「ちょっとピザ」「ちょっとコンビニで買い物」など、「ちょっと」の時に威力を発揮します。

iPhone X に日本のスイカとカナダの VISA が同居しているのは、今の時代ならではのことなのでしょう。カナダと日本を行ったり来たりの暮らしをしていると、システムレベルで小銭が発生する買い物に対応できるカードがスマホに入れられる所が面白いと思います。

Apple Pay はまだ限定的で、銀行カードの便利さには負けています。一方で、興味深いのはこの「ちょっと」マーケットをターゲットにしたアプリブームが起きていること。

Tim Hortons・Starbucks・McDonalds・PizzaPizza など大手ファストフード店が積極的にスマホ用アプリを発表し、メニューからのオーダーと支払いを一括してアプリ内で行えると大々的に宣伝をしています。

キャッチコピーは「行列しないで、すぐ受け取れる」。確かに、これらのチェーン店は行列がすごくて、せっかちなトロントに暮らす人達にとっては分かりやすいコピーですね。店側とすれば人件費が高騰していることもあり、注文と支払いをアプリにさせておけば長期的な経費節減にもなるというわけです。

結論

トロントにおいてキャッシュレスは定番の風景。さらに進んで、フィジカルなカードも持たずに、日常の買い物をするのが普通のことになってきました。

結果として、ますますスマを使いこなすというテーマが、暮らす上で重要な役割を占めるようになってきた、というわけです。