トロントのチップ事情2018年

カナダに住んでいて日本と違うことは沢山あります。なかでも違う文化に住んでいるな、と思うのは、チップ制度。今回はこのテーマについて書いてみたいと思います。

この記事の目次
端末で支払うレストランのチップ

よく聞かれるのは、トロントのレストランでどれくらいチップをあげたら良いのか? という質問。チップは本来、受けるサービスによって一律ではなく、お国柄というのもありますし、直接聞くわけにもいかない地元ルールのようなものもありますから、迷うこと然りですね。

レストランのサーバー(ウエイター or ウエイトレスさん)職は時間給とチップを合わせての収入で、時間給は低く抑えられているためチップが重要な収入源となっています。従って「チップはあげなくてもいいかな?」と軽く考えてそのままレストランを出ると、状況としてはマズイわけです。この辺の感覚はチップのない日本だと分かりにくいでしょうね。

トロントはアメリカからの影響が強く(ニューヨーク州からの旅行者が多い)、一昨年あたりからニューヨークでチップの相場が上がっていることに対応して、レストランでは 20%というレートを聞くことが多くなりました。これは実際、かなりな額をサービスに対して払うことになります。

トロントでは現金以外の支払いの場合、写真のようにお会計時にサーバーが端末を持ってきてくれます。ここにクレジットカードや銀行カード(デビッド)を挿して会計を済ませる方法がほぼすべてのレストランで行われています。

流れとしては、お食事が終わり「お会計をお願いします(Bill Please)」と言うと席にお会計票が届けられます。原則的にチップの計算はお会計の Total ではなく、Food Total(税抜き)にパーセンテージをかける、と言われています。

この計算が意外に面倒なため、端末にあらかじめ計算されたパーセンテージが表示されるようになっています。15%/18%/20%(もちろんそれ以外のパーセントも入れられる)がそれで、実際は間をとって18%が多いのではないでしょうか。

先日行ったメキシコ料理店で渡された端末。18%スタートで20%、25%と続いていました。この並びは初めてですね。ここはカジュアルなレストランですが、さすがに25%というのはやり過ぎな感。もちろん4のOTHERを押して15%でもいいわけですが、チップの圧が強すぎるように思います。

昔ながらのパーセントを選ぶ or 金額を入れるという選択肢のみの端末もあります。 チップはあげないという選択肢が3番にあるのはテイクアウトをやっているお店のため。サービスを受けて3を押して帰るというのは、かなり怒っている状態です。

支払いは、この端末にクレジットカードを自分で差し込み、チップを選んで暗証番号を入れると支払いが済むという流れです。このチップが(ほとんどの場合)担当してくれたサーバーの方に支払われるのがルールです。

評価のポイントは、

・愛想がいいか
・注文が正確か
・ワインなどこちらが必要とする質問に的確に答えてくれたか
・サービスが迅速か

彼らは気持ちよく食事をしてもらうのが仕事(少しでもチップを多く欲しい)ですから、一生懸命サービスをし、それに対する満足度がチップのパーセンテージに表れるというわけですね。酔っ払っていることが多く薄暗いレストランでチップの計算はなかなか面倒ですが、この端末があるおかげで便利です。

端末を使う場合、サーバーは一切我々のカードには手を触れません。自分でカードを指し、暗証番号を入れて会計を済ませます。現地感覚では、キャッシュを持ち歩くよりも安全で手軽という気分です。

日本ではまだまだ現金でのお会計が主流なので、このお会計の流れも最初は戸惑うかもしれません。

端末でチップはどうやって計算されているの?

今まで気にしたことはなかったのですが、実際にこの端末でどのようなチップ計算になっているか気になったので検証してみることにしました。

まずこれが最初に渡された計算書。

Food 合計 $76.75
Alchol 合計 $52.00
税金(13%)$16.73
総計 $145.49

チップは食べ物と飲み物の合計に対して(税抜き)が基本となりますので、$128.75 の18%=$23を総計に足して、今回は $168.49 が正解となります。

実際この時端末上で18%のチップを選んだ結果チップは $26.19 の計算となり、先の計算より3ドルほど上乗せになっています。これは税金も入った総計に18%がかかっているため。端末はこういう計算をしているのですね。

この時払ったチップのパーセンテージは 20%。楽しい食事だったので問題はありませんが、総計額によっては18%と指定しても多少の上乗せ(今回は20%相当のチップ額)を払うことになるという仕組みを知っておいた方が良いでしょうね。

もしこの時15%を端末で選択した場合チップ額は $21.8 となり、税抜きの16%という計算になります。まあこの日は18%のボタンで正解だったと思います。

UBER/タクシー/空港リムジン

ダウンタウンで流しのタクシーに乗る、あるいは空港へ向かう際にリムジンを予約した場合も、お会計は端末で支払います。タクシーは現金も可ですが、お釣りの小銭が足りないことがしばしばなので、8ドルくらいの乗車だったら10ドル札を渡して「No Change please(お釣りは結構です)」と言う場合もあります。トロントでは多くの現金を持ち歩かないこともあり、少額でもクレジットカード払いが一般的です。

当然チップの計算は端末上で行いますが、レストランと違って10%〜15%が一般的。リムジンは重いスーツケースの出し入れをやってもらっていますので、計算上はスーツケース1個につき1ドルと長く言われてきましたが、端末では18%をつけてしまうことが多いです。

実際のところトロントではタクシーより UBER/Lyft というライドシェアが普及している(迎車料金が無料)ため、予めアプリ上で行き先を指定すると料金が自動的に計算され、それに合意して配車をします。降車時には何も支払いは必要ではなく、設定されているカードから引き落とされ、最後にドライバーに対する評価とチップを送れるようになっています。

上の写真は一例ですが、UBER のチップの計算方法は正確に乗車料金の18%で計算されているので、ルール通りだという点で好感が持てます。

ホテルで

何かお願いした時にチップを払うのがホテルでのマナー。ハウスキーピングが複数日に渡る場合は、最終日にまとめて置くのが一般的ですが、$1〜$5が目安です。ルームサービスはあらかじめ料金にサービスチャージとチップが含まれている場合が多いので、確認しておくと良いでしょう。

これはチップとは直接関係ありませんが、宿泊に際してさまざまな税金が結構ついてきます。この時も通常消費税の13%を含め全部で3つもの税金と手数料がかけられていました。これらは観光税と呼ばれるもので、観光立国カナダならではのお国柄と言えるでしょうか。

チップも含め、自分がどのようなサービスを受け、それに対して何がどう支払われているのかも予め知っておくことは重要だと思います。