【体験的考察】機内持ち込み派の荷物サバイバル法

多い時で年3回はトロント〜東京を往復し、国内も東を中心に移動する二重生活。空港のターンテーブルでいつ出てくるかわからない荷物をボンヤリ待つのがイヤで、一人だけの場合はよっぽどの理由がなければすべての荷物を機内に持ち込みます。

カメラやバッテリー、パソコンなど手元から離したくないモノが多いのも、機内持ち込みが習慣化した理由の一つ。大きさや重量に制限があるので、毎回試行錯誤です。どんな風にサバイバルしてきたか、また今後どうなっていくのかについて、個人的な意見を体験を交えてまとめてみたいと思います。

この記事の目次

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機内持ち込みサイズ、カナダの決まり

まずはカナダに本拠地がある暮らしのため、フラッグシップキャリアのエアカナダから書きはじめたいと思います。

エアカナダの機内持ち込みは、サイズ 55cm/40cm/23cm/重さ10キロという決まりがあります。これには但し書きがあり、「国際便/国内便両方に共通(Regardless of you destination)」となっています。

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実際問題、飛行機の大きさ問題がありますから全部が全部これでうまくはいきませんが、最も乗る羽田直行便やモントリオール/カルガリーなど大都市便の機内は、これで大丈夫です。

2〜3泊までの小旅行

少し前まで良く使っていたカンペール(CAMPER)のコメリュック。サイズは、48cm × 32cm × 15cm と機内持ち込みに最適。気軽な小旅行の場合、カメラやパソコン、着替えなどをコンバクトに入れ、座席の下に滑り込ませます。

このリュックはジッパーが上から一周してこんな風に開くというちょっと変わった作り。パッキングは私の場合、MUJI の仕分けケースを使って中身を分類して小分けにします。この仕分けケースはとても軽く、総重量にも影響を与えないところがGOOD。バッグやケース類という入れ物の重さをできるだけ軽くするのは、とても重要です。

ネットがかかった反対側には書類やちょっと取り出したいモノを入れておきます。男の一人旅なので、2〜3日でもこのサイズで充分。自分の荷物に最適なサイズのバッグを探すというのも、機内持ち込みをやり易くするコツです。

1週間前後の旅行用バッグ&キャリーケース

長距離旅ではどうしても1個では足りません。トロントから初めてロンドンに行った時は、機内持ち込みサイズのサムソン製キャリーケースとカンペールのショルダーで、鉄道も使って5日間の移動をこなしました。

2個にして容量が増えるのは便利な一方、移動は多少不便になります。この時はロンドン地下鉄を経由して在来特急に乗ったりしましたので、荷物を持っての乗り換えが大変でした。

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探してみたら、荷物を撮った写真が出てきました。今思うと荷造りの際に思いついたモノをたくさん持って行ったように思います。旅に本当に必要なものだけを選ぶのには、何度もの試行錯誤が必要。経験から言うと、3分の1は現地で一度も使わないモノを入れているような気がします。

荷物のサイズですが、最新型のボーイング787など最近のエアカナダで羽田(成田)直行便で使われているボーイング777の機内は頭上の荷物置き場が広々としているので、キャリーケースは余裕で入ってしまいます。国際線は機内持ち込みの重量制限もトータル10キロの上にサイズ以外のチェックはないので(それも厳密ではない)、それほどシリアスに考える必要はなさそうです。

旅のスタイルにもよりますが、LCCなどコスト重視で乗り物を選ぶとサイズや重量などに制限がかかって来ます。それはケベックシティーやボストンなど小型プロペラ機が出てくる場合と同様。上記の方法だとうまくいかないことがあります。

ボンバルディエ Q400(ポーター・エア)

トロント・シティー空港(トロントアイランド空港)を本拠地とする、ポーター・エア。ケベックシティーやボストンへ定期便を飛ばしています。アイランド空港はダウンタウンにあるので、アクセスが便利。30分以上かかる国際空港まで行かなくてもいいので、東部カナダ(アメリカ東部も含む)へ向かう時には大変便利です。

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このキャリアは予約時のクラスによって運ぶ荷物に制限がかけられています。一番安いベーシック料金では、キャリーケースは持ち込むことはできません。上記の2つを持ち込むためにはスタンダード料金での予約が必要です。また預け入れも有料です(約27ドル)。これらは全て予約時に設定しますから、日本のLCCとほぼ同じ扱いですね。

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スタンダード料金(機内持ち込み2個)で、MUJI のキャリーバッグ(小)と小ぶりなリュックを持ち込んでみます。チェックポイントもスルーでした。

機材はカナダのボンバルディエ社製。プロペラ機ながら Q400 という多少大きめの機体で、客席は100未満の20列。MUJI のキャリーケースはチエックポイントでは係員が目視で大きさを判断した後スキャンにかけていましたので、ちゃんと「Approve」のタグ付きです。

この状態で機内に入ったら、座席上の荷物棚には入れられず、ギリギリ座席下に押し込めるレベルでした。持ち込みサイズは 55 x 40 x 23 cm 、キャリーケースの寸法は 54x37x23.5cm。比較すると、縦横はクリアしたものの厚みが 0.5cm オーバーが原因で、座席の下に入れる時にも押し込んで入れるというような状態になってしまいました。

国際線では全く問題なかったキャリーケースは、国内線の小型機になるとムズカシイわけです。

ボンバルディエ Dash-8(エアカナダ)

水上飛行機の撮影のためスーセント・マリーという小都市に向かったこの時は、先ほどの Q400 よりさらに小さい機体、ボンバルディエDash 8-100 (DH1)が出てきました。

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歩いて乗り降りするくらい小さい。この時はカメラとレンズをフルで持ち出さなければならなかったので、あらかじめ情報を調べた上で、どうバッグに納められるか工夫を重ねる時間がありました。

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散々考えた結果、クランプラーのショルダーバッグとカメラバッグ2つに分けることで落ち着きました。これは肩に一番負担がかかる、もっとも避けたい方法ですが仕方ありません。

超絶小さな機内の座席はわずか9列でしたが、荷物は2つに分けたお陰で無事収納。飛行はスムーズで、プロペラエンジンのブーンという音を聞いていると、カナダを旅しているなぁという旅情あふれる雰囲気を味わうことができました。座席はそんなに狭くはないのですね。レッグルームも意外にたっぷりありますから、カメラバッグは座席下にスッポリでした。余談になりますが、この2つに分けるという方法は大きなレンズやカメラ+ラップトップを運ぶような場合には効果的です。

これはレスブリッジで行われた大会の撮影に出かけた時のこと。トロントからカルガリーへはボーイング。そこからの乗り継ぎ便が小型機で流石に機材は持ち込めないので、レンタカーを組み合わせ現地に向かうという解決方法を考えなければなりませんでした。

乗り換えは鬼門です。

Hawker Siddeley 748(エアノース/エアユーコン)

今までで一番印象に残ったのは、ホワイトホースとドーソンシティーを結ぶエアノース/エアユーコン。

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機体は Hawker HS-748 Series 2A(Hawker Siddeley 748)、イギリス製で初号は1960年。その後30年間生産された小都市を結ぶ短距離離着陸性能に特化したターボプロップ双発機(プロペラ機)です。

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平屋の小屋のような空港からトコトコ歩いて飛行機に乗り込みます。右側奧が滑走路。非常に短い滑走でも飛ぶことができるので、カナダのこうした地方空港では

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機内はこのような感じで、入った途端に「うわ、狭!」と声を上げてしまいました。座席の下にはほとんどカバンが入れられるようなスペースがなく、上の荷物棚は本当の棚。そんなわけで、手荷物は膝の上に乗せ抱えるように(本当はNG)した鮮烈な記憶があります。

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この機材は面白くて、シートのアレンジが上図の様に荷物室と共用で変えられるようになっていること。遠隔地へ向かう飛行機は、物資輸送の重要な手段でもあります。一番後ろに座った記憶から推測するに、上から2番目の32席仕様でした。トロント→バンクーバー→ホワイトホース→ドーソンシティーと乗り換える度に飛行機が小さくなって行くのは、ある意味「カナダあるある」なのかもしれませんね。

小型機にも対応できるバッグ選び

体験的に学んだこととして、国際線以外の機内持ち込みではキャリーケースが問題です。転がせるぶん体の負担が少ないのでどうしても手を出してしまいます。一方で、狭い機体を使っている日本の国内線や LCC は制限が強めで、持ち込めないことも多いわけです。

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全日空の国内線で適用されている手荷物のルールが分かりやすいのですが、100席未満の機体に乗る場合身の回り品2個持ち込みという原則は変わりませんが、サイズが 45cm/35cm/20cm というサイズ(3辺の和が15センチ短くなる)となります。このサイズ制限はポーターのものよりさらに小さいので、残念ながら私が持っている35Lタイプ MUJI のキャリーケースはアウトです。

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これが LCC になると厳しくなり、重量が3キロ少ない 7キロに制限がかかります。大きの和は115センチと全日空の100席以上に当てはまるものですが、2個持ち込む場合もこのサイズにはまっていないとならないという制限も加わって状況はさらに複雑になってきます。

航空会社によって若干の違いはありますが、日本発アジア行き LCC の香港エクスプレスだと、機内持ち込みは2点で全体が 56 x 36 x 23 cm、大きい方の荷物1個は7キロ以内と決められています。このサイズ制限は台湾便の Jetstar なども同じで、先ほどの35L タイプのMUJI のキャリーケースが 54 x 37 x 23.5 cm ですから、横が1センチオーバー&幅0.5cmオーバー。

厳密すぎると思われるかもしれませんが、LCC は荷物ルールが厳密に適用されるのが常。いざ検査場で見つかると、追加料金など無駄な出費と手間がかかるので、機内持ち込み可能と書かれたキャリーケースでも入れない場合があるところは要注意です。

この厳しいハードルをクリアするためには、キャリーケースを捨てボストン/ショルダー/バックパックに変える必要が出てきます。

LCC で行く旅のスタイルを考えると、常に両手がフリーになるバックパック、特に「トラベル・ラップトップ・バックパック」と呼ばれるモノは機動力も上がり便利です。今回改めて見直したのが、Amazon.ca で昔買ったベーシック・カメラバックパック。

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サイズはそれぞれ、44.95 x 34.1 x 22.35 cmと厳しい LCC の規定より一回り小さくできています。何より重さが3.09lb=1.4キロと軽い。機能的かつミニマルにできているので、自分の中では今、再評価中のバッグです。デザインは本当に二の次というところが大いに不満ですが、LCC を選択するのであればそこは諦めなければならないのかもしれません。

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実際便利なのは、外側からアクセスできる3層構造になっているところ。背中側のラップトップ用レイヤーは空港の保安検査場で電子機器の出し入れが必要な時に威力を発揮します。

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次の一番大きなレイヤーに入っているのは Peak Design の5L スリング。これはサイズが 30.98 x 19.05 x 10.92 cm で重さは 1.1lb=498.95g あります。

計画としてはリュックを飛行機などでの移動用とし、旅先に着いたらスリングだけを持ち出しての行動用と棲み分けたらどうかと考えていますが、どうでしょうか。

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スリングには、カメラ/バッテリー/ケーブルなどを一つにまとめて入れています。場合によってはチェックイン時にスリングだけ外に出して身の回り品にできれば、バックパックにもう少し入れられるかもしれません。

ここまでで全体の重量が5キロちょっと。総重量7キロとした場合残り2キロ程度の余裕があり、現地で何かお土産的なモノ(液体ではない)を買った場合、制限内に収めることができると考えます。

使い勝手が良いトラベル・バックパック。もう少し気にいる良いモノはないかと探しています。本気で探すとあるもので、より多くの収納と軽さを追求したバッグが幾つか見つかりました。

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例えば MATEIN というメーカーのトラベルバックパック。

サイズは 45.72 x 30.48 x 19.81 cmとアマゾンバッグとほぼ同じですが、重さが 1.56lb=0.71キロと1キロを切り半分の軽さ。

今後 LCC に乗る機会も増えてきそうなので、トラベル・バックパックのみのパッキングができるよう、もうしばらくこのテーマを追いかけてみたいと考えています。