2012年に大きな話題となった、オーロラ。せっかくなので、カナダで最もオーロラが見られると有名なイエローナイフのオーロラ・ビレッジ(http://www.aurora-tour.com/)で行われているツアーに2回参加しました。
「オーロラと言えば冬」。私が生まれて初めて見たのは冬真っ盛りの2月でした。帰って来てから「夏オーロラ」のことを聞き、ぜひ見たいと思ったわけです。今回は夏にどんなオーロラが見えるのか、気温や服装、デジカメでの撮影についてまとめてみたいと思います。
トロントからイエローナイフへは直行便がなく、カルガリー経由で向かいます。
トロントからの時間は以下の通り。
・トロント〜カルガリー(約4時間)
・カルガリー〜イエローナイフ(約2時間半)
飛行機代はエアカナダで約600ドル程度ですが、便数が多くないので事前に要確認です。
トロントを飛び立ち、カルガリーへ。
ここで乗り換え。
機体は、エアカナダJazz。
一路北へ。眼下には、この時期(9月末)は黄葉という独特の秋景色を見ることができます。 イエローナイフ空港ではタラップを降りて徒歩で空港ビルに向います。ツアー予約時にあらかじめ便名を言ってありましたからガイドさんのお迎え付き。送迎バスで10分ほど行くとホテルのあるダウンタウンに出ます。なおカナダは全部で6つタイムゾーンがあり、山岳部時間(MDT)のイエローナイフと東部時間のトロントとの時差は2時間(トロントが正午の場合、イエローナイフは午前10時)。日本とは15時間になります。
3〜4泊を考えていたので、安価なディスカバリー・インへ。
お部屋には冷蔵庫+電子レンジ+コーヒーメーカーがあり、便利でした。実際お食事は夜のオーロラ鑑賞が中心のため、近所のスーパーで買ってきたカップ麺などを食べ、寝るだけなので、これで充分でした。Wifiはとても遅く、正直それほど使えませんでした。1)夏オーロラのシーズンはそれほど寒くない
夏オーロラが見られるイエローナイフの9月は日中20度を越えることもありますから、場合によってはTシャツでも平気です。
しかしながら夜になると5度前後まで下がりますので、オーロラ鑑賞の際には日本で着る防寒用コートや手袋、ブーツなどで大丈夫なレベル。事前に天気や気温をネットで確認することをおすすめします。
2)湖に映る「逆さオーロラ」が必見
冬はカチンコチンに凍ってしまう湖も、夏の間は水をたたえた本来の姿に。
風が吹かずに湖面が滑らかな時間帯にオーロラが出現したらぜひ湖面に注目してみて下さい。
なんと、逆さまに映るオーロラ鑑賞ができます。これは夏だけにしか見ることができないレアな現象。私が滞在した時にも一日だけそうしたチャンスが巡り会うことができました。今でも忘れられない経験です。
3)星空鑑賞を堪能できる
冬オーロラ鑑賞の時に私が気づかなかっただけかも知れませんが、漆黒の夜空に映える夏の星空は圧巻。
まさに空から降ってくるような星空が堪能できます。天の川もこのようにバッチリ。
私が滞在した時には天の川とオーロラのツーショットを見ることができました。
4)夏でも「オーロラブレイクアップ」は起きる
オーロラ出現に季節の違いはないため、夏でも美しい「ブレイクアップ」と呼ばれる現象を見ることができます。
これは瞬間的にオーロラが全天を覆いつくす状況を言うものです。
私が昨夏に見たのは、南北の方向にくっきりと見える一筋のオーロラが時間とともに揺らぎ始めて、一瞬強くなったかと思うと東の空で「パチパチ」と音がした「気がする」ほど強烈なピンク色の光が肉眼で見えて、その後あっという間に全天をオーロラが覆った、といった様子です。
この他にも様々な形や色のオーロラを見ることができました。5)野生のバッファローも鑑賞できる
オーロラビレッジが催行しているオプショナル・ツアーに参加すると、昼間のイエローナイフを知ることができます。その一つが、北米に生息する「アメリカ・バイソン」という巨大な野牛を鑑賞するこのツアー。
かつては北米にたくさん生息していたバイソンは乱獲により激減、現在は絶滅の恐れのある動物としてワシントン条約で保護されています。
ツアー自体はバスで生息地区を走り、見つけると車内から群れを鑑賞するというスタイル。野生のバイソンを見つけるのはなかなか難しいそうですが、私が参加した時には沢山の群れに遭遇することができました。6)短い秋には黄葉鑑賞も
イエローナイフは主に針葉樹で覆われていますが、秋になると「黄葉」という紅葉に似た風景を見ることができます。カナダではカエデの赤やオレンジが美しい東部カナダの紅葉が有名ですが、それとはひと味違う黄みがかった「黄葉」はこの地域限定。飛行機からも見ることができるので、昼間のフライトだったらぜひ窓際に席を予約して外を見て下さい。
オーロラビレッジのオプショナル・ツアーに参加すると、キャメロン滝へ向う軽いハイキングを楽しむことができます。
私はハイキングは全くの初心者ですが、夏の爽やかな森林浴を楽しむことができました。特にカメラ好き、写真好きの方ならオーロラ、星空に加え、日中もイエローナイフの自然と被写体には事欠かないわけですから、この秋、あるいは来年3月までの期間、ぜひにとオススメです。
この年に撮影した写真が、「’13-’14地球の歩き方 カナダ」及び「’13-’14地球の歩き方 カナダ西部」に掲載され、また「オーロラ撮影の基本ポイント」も執筆させていただきました。
持ち物のポイントは3つ。
1)三脚
長時間露光をしますので、ブレを防ぐために簡単なもので結構ですから、三脚を持ってゆきましょう。
2)デジカメ
10数秒程度のシャッターが切れる、バルブ撮影(Bモード)ができるデジカメが理想的です。最近は高感度にしてもザラつかない高性能なものが安価で買えます。夜景が得意なデジカメであれば、だいたいオッケーです。
3)広角(最低でも28ミリ)の明るいレンズ(F2.8)
オーロラは空の広い範囲で起きますので、広角レンズが必要です。最低でも28ミリ、それ以上ならなお良いでしょう。
カメラの設定は、
1)ピントはマニュアルフォーカスにし、無限大に合わせておく
2)シャッタースピードはISO感度との兼ね合いもあるので、ノイズが出ない最大ISOにした上で、シャッタースピードを現場で変えながら、最適な設定を探る
3)夏オーロラの場合、気温が5度前後だとレンズが曇る確率が高いので、こまめにチエック(屋内には入れない)
構図は、オーロラ本体と森、湖あるいは天の川などもう一つ何かが入るとより印象的な写真になります。