ポラロイドSX-70の入手法とフィルムのことなどまとめ

前々から興味があったインスタントカメラ(Polaroid SX-70)を入手した際に調べたこなどを、忘備録としてまとめておきたいと思います。

SX-70 は30年以上前に製造が終了しているビンテージと呼ばれる部類のカメラです。

  • 製造→1972年〜81年
  • レンズ→4枚構成 116㎜ F8光学ガラス/26.4㎝~無限
  • シャッター→無段階電子シャッター(14秒~1/180秒)
  • フィルム→原則的に SX-70 専用(ISO 160)、NDフィルターあるいは改造後に600フィルム使用可

実は、製造元のポラロイド社は2008年に一度倒産をしてしまいます。当然インスタントカメラ事業も廃止されてしまいました。

現在ポラロイドの名前でカメラとフィルムを販売しているポラロイド・オリジナル(Polaroid Originals 日本語サイトは2020年3月に閉鎖/英語サイト)社は、倒産した2年後に発足した Impossble Project がポラロイド社から事業を受け継ぎ、後に社名をこのように変更したもの。現在は、

  1. 中古の SX-70 を再調整(リファービッシュド)して販売
  2. 安価な新型機種を発売
  3. フィルムの製造販売

インスタント・カメラ事業を復活させました。

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初期に発表された折りたたみ式でスタイリッシュな SX-70 は今なお根強い人気機種。基本的に中古品のみですが、写真の再調整モデルを4万円ほどで入手。

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耐用年数が過ぎたパーツを整備/交換し、見た目もきれいで動作も確認済(リファービッシュ・プログラムについて)であれば私のような初心者でも安心です。また故障の際は、on and on か三葉堂寫眞機店で修理や整備が可能なようです。

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オプション品は、新品在庫や中古が国内でもある程度手に入ります。まず最初につけるべきものとして推奨されているのが、フィルム排出時の感光を防ぐシェード。1000円程度で取り付けも簡単です。

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国内で見つからないものは海外の eBay で。 SX-70 のオリジナルモデル(モデル1)はストラップが直付けできないため、定番の速写ケースを、送料込みの8000円程度で入手(出品者の住むギリシャから11日)。

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フィルムはカートリッジ式で、基本は SX-70 専用カラー/白黒の二択。8枚撮りで定価が2700円ほどと高価。販売店によって値段の差はあるので、公式サイトでセール品を買うか、カカクコムで最安値を探します。

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高感度な 600 フィルムは、NDフィルターをつけるか本体を改造することで使用可能になります。

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フィルターは、レンズに取り付けるモノとフィルムに直接貼りつけるモノの2タイプがあり、手軽なのはフィルムタイプ。ポラロイド・オリジナルズ社の日本語サイトで(インポッシブル社製)販売しています(発注2日後には佐川急便で到着)。

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使い方は、まずパッケージからフィルムを取り出し、

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カートリッジの上面に滑り込ませるように挟み込みます。これで普通に撮影ができます。注意したいのは、NDフィルターで減光しているため、高感度フィルムを使っていてもシャッタースピードが速くなるわけではありません。使えるフィルムを増やすというだけのことです。

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この他、白黒フィルムも純正/高感度の2種類があります。これらもカラーフィルムと同様の扱いで使えます。

カメラの取り扱いは難しくなく、上のようなムービーを見るだけで分かるシンプルさです。フィルムの感度(ISO)に関わらず、レンズの絞りは F8 固定/シャッタースピードも自動です。従って撮影はピントを合わせることと、露出補正の2つの操作のみとなります。

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ピントは写真左上(赤いシャッターボタンの上)の黒いダイアルを回してファインダーの二重像を合わせて行い、露出補正は光の様子を見ながらダイヤル(右上の白いダイアル)を勘で(!)動かして調整します。

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撮る際には、「ファインダー内に均等に光が回っているかどうか」を気をつけてシャッターを押すことを心がけています。特に明暗が別れるような構図の場合(例えば青空と森が上下に分かれている、背景に窓から光が差し込んでいる等)は露出が偏りがち。仕上がりが明るすぎる/暗すぎるといった現象が起こります。

ただこれらもポラロイドの味。現像が終わると仕上がりが分かるこのカメラの楽しみです。

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何枚か撮ったところで、後付けのフィルターセットも買ってみました。eBay が香港からの送料込みでも国内で買うより若干安かった(約1万円)。

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届いてみたら出品者は MiNT の人で、ブルーフィルタを絶賛。

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内容物はこんな感じ。説明書はフィルター・クロスにもなっています。

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フィルターは、クローズアップ/ND/黄色/青/フィッシュアイの5点。

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カメラを開いた状態でアダプターをつけ、

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フィルターをレンズ前にはめ込みます。高感度600フィルムを使う際はNDフィルターをつけますが、カートリッジ側にフィルムを挟んで様々なフィルターが使えて楽しいので、NDフィルターの出番はなくなりました。

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ブルーフィルタを使って曇天を撮影。

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クローズアップレンズを装着し、

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窓に付いた雨粒を。特に室内での撮影時にはシャッタースピードが遅く(フィルム感度に関わらず)手ブレが起きる確率が高くなるので、「しっかりカメラを構える」ことで対処できない構図やシチュエーションで撮る場合は、フラッシュの力を借りましょう。

この他、外付けフィルムやレンズでノーマルと高感度の2種類のフィルムを使用するアナログ方式を、シャッター周りの回路を改造してスイッチ切り替え方式に変更するカメラ本体の改造(2万円弱/on and on あるいは三葉堂で)もあるようです。

現在以上の性能を求める場合、改造よりもインポッシブル社とパートナー関係にある MiNThttps://mint-camera.com/en/)が開発した、SX-70 の強化版となる SLR-670 へと進む方が良いかもしれませんね。オリジナルの SX-70 のシャッター回路を大幅に改造し、機能アップを行ったユニークなカメラです。

  • シャッター周りの電子基板を新設計
  • 16種類のシャッタースピードをダイヤルで選択可能
  • 低感度/高感度フィルム切り替えスイッチ

なかなかのところを突いてきていますが、高価なのがネックです。

そお言えば、毎回最初から出てくるフィルムカバーにはパターンがあるようです。

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これらを取っておくのも楽しいかもしれませんね。